「 何かを変えたい 」

人は、何かを変えたいと思う時に、
歴史的には2つの方法を取る傾向がありました。

ひとつは、自分を変える方法。
 
ひとつは、環境(自分以外)を変える方法。


1.自分を変える

本を読む。友だちと会う。旅に出る。イベントに出る。習い事、お稽古をする。体を鍛える。挨拶をする。言葉遣いを変える。笑顔でいる。プラス思考をする。感謝する様にする。自分自身に言い聞かせる。夢や目標を設定する・・・などなど。

一番、身近な存在は他でもない自分。その自分を変化させるのは、ごく自然な事であり、とても本質的な事ですよね。


2.環境(自分以外)を変える

親(子ども)に働きかける。先生(生徒)に働きかける。彼氏(彼女)に働きかける。消防団や町会などの地域活動に参加する。ボランティアやNPO/NGOなどの活動に参加する。募金をする。株式投資をする。選挙に行く。ムーブメントを企画する。政策提言を行う。企業塾や人生塾を開講する。海外に学校を作る・・・などなど。

生きていると、家庭環境、地域環境、学校環境、職場環境などの影響を強く受けます。自分という基準を生まれさせた環境だから、その環境を変化させていくというのは何かを変えたいとする時にとても本質的な事だと言えます。


3.歴史的に観て、うまくいっていない現状

自分を変えるために、行動・言葉・表情などを変化させたり、考え方、感じ方を変化させようとしてきました。環境を変えるために、自然環境・社会環境・心理環境・文化歴史環境などを変えようと取り組んできました。

これは、人間であれば、誰もが幸せでありたい、成功したい、感動したい、平和でありたい、と心から願っているので、ごく自然な事であり当然の事だと思います。

ですが不思議な事に、世界には未だに戦争がなくなっていませんし、経済格差が益々激しくなる一方で飢餓貧困は苛烈になっていますし、環境汚染や環境破壊問題も深刻です。また、文明先進国であるにも関わらず、少子高齢化による未来社会の不安感、大学を出ても職場がない雇用問題、過剰な宣伝広告による消費活動、年々増加する鬱や精神病とそれにまつわる社会問題・・・と山積された問題は一向に解決の兆しを見せてくれません。

それどころか、教育・経済・政治・文化芸術のどこを見回しても、積み重なり絡み合う問題の解消と解決を感じさせてくれる材料がありません。

人間は、素晴らしい生き物です。

こんなにも自分を変えているのに、こんなにも環境(自分以外)を変えているのに、一体どうして、解決された問題以上の質と量で、新たなる問題が生み増えて絡まっていくのでしょうか?

自分を変える、環境(自分以外)を変える・・・しかし、未だに幸せ・成功・感動・平和には遠い。歴史を参考にすると、それだけでは何かが足りない様な気がしてきませんか?


4.自分を変える、環境(自分以外)を変える、ことがうまくいかない理由

自分を変えるという観点にも、環境(自分以外)を変えるという観点にも、同様にして共通の限界が隠れている・・・

もし、そうだったとしてみたらどうでしょうか?

そもそも、その観点に盲点の様なものがあって、自分を変えたり環境を変えるという事が本質的な変化の方法であったとしても、盲点に気付いていないが故に、盲点から生み出される問題には対処・対応する事が出来ず、問題が目に見える領域に差し掛かった時に初めて、対処・対応する事が出来る。

つまり、出発の時点から既に限界や問題を抱えてしまっていたとしたら・・・


5.海とお魚の例え

それを確認する為に、一つの例えを紹介したいと思います。

お魚を研究する為に人間がやってきた事は、解剖するとかしながらお魚の中を探す事でした。至極当然の流れであるかに思えますが、ここには大きな落とし穴があります。

お魚がどういう存在であるかを知る為には、お魚の起源を知る事もとても大切な事ですが、お魚が誕生していなかった時代があります。そもそも、この地球上には未だお魚が誕生していなかった時代があって、その時代だった時から何かのきっかけがあって、お魚が誕生する様になっています。

つまり、お魚の起源は海にあります。
お魚を知る為には、海を研究する必要があります。

しかし、お魚を解剖する作業をよく見ますと、そこに海を取り扱う姿勢は見えてきません。お魚の解剖には、海は全く切り離された存在で、そもそもそこに関心がありません。その状態で、一体どうしてお魚の起源にたどり着く事が出来るでしょうか?どうして、お魚を知ったと言えるのでしょうか?



6.海とお魚を同時に

お魚の研究をたとえ話にしましたが、この話からお伝えしたかった事は何かと言いますと、お魚を知ろうと思えば、海も同時に研究する必要があるという点です。

お魚は、海からやってきて、海へと戻っていきます。海とお魚は、切っても切り離せない密着かつ親密な関係性ですので、切り離す事の出来ない海とお魚を無理やり切り離したところから出発した全ての事象・現象は、お魚の本質から最も遠ざけてしまう作業だった事になります。

出発から、最も遠い。だから、繰り返してきました。
ですが、出発がそのままヒント!だという見解も出来ませんか?

海とお魚の切り離せない密着かつ親密な関係性を、同時に変化させていくこと。これこそが、真にお魚を起源を知り、お魚を理解し、お魚らしく生きる事が出来ると思うのです。

自分というお魚、そして環境(自分以外)というお魚。

お魚だけに着目するのではなく、どんな海がそこに密着していたのか。


7.同時に、を確認する場づくり

『今まで と 今から』では、とてもとても難しい事かもしれませんが、海とお魚を同時に変化させていく場づくりを目指して活動を企画しています。

皆さんとの出会い一つひとつの中に、海とお魚を同時に変化させていく動きを見出す事が出来たらこんなに嬉しい事はありません。
そんな観点から、色んな気付きや発見などを蓄積していってくれたらと心から願っています。